ぱてんとり の 巣

知財と積読消化

高林龍 標準特許法7版

めちゃ良いです。

基本書のわりに2800円はリーズナブルだし、

主張の立場が一貫してて、傍論にそれないので読みやすい。


たとえば、技術的範囲が不明確な機能的クレームの解釈が問題になったときの話で、

明細書等を参酌して限定解釈をうんぬんする議論はあるが、

(cf70条2項、磁気媒体リーダー事件)

それは『するまでもない』。

無効理由をかかえてるんだから104の3の抗弁で権利行使が阻止される『べき』だよね、

ていうのをズバッと言ってくれてる


辞書的な説明だったら青本読むわ、という話で、筆者のポジションはっきりしているのは助かります。


あと、法曹の立場から、『民法、民訴のジョーシキってこんな感じだよね、それを踏まえて、無理が生じる部分を特許法で補ってるんだよね』

という説明がされるが、

このジョーシキの肌感覚にとても自信が感じられるし、読者としても安心して乗っかっていけるので、全体の理解がとても腑に落ちる。


たとえば、

有体物の物権でいう『物』を、

電気とかエネルギーにまで拡張するのは解釈上OKなんだけど、無体物の物権、てのは無いんですよと、それは民法上無理なので。

だから特許法とか知的財産権法を設けてるんだよと。

こういう、ストンと腑に落ちる説明を随所でしてくださる。


良質な講義レジュメという感じで、授業うけたくなる本