ぱてんとり の 巣

知財と積読消化

1か月振り返り

大部分が調査案件

4案件こなして、

1案件あたり平均30時間くらい。

ヒアリング→調査→中間報告→調査→最終報告、クローズ)

 

所要時間のわりに、

精読の時間が取れてないのが課題。

 

検索式で絞ったとして、

100件スクリーニングしてノイズはじいて

2,3件が特に近く、ドンピシャみつかるのは半数以下、

というくらいの割合が体感多いのだが

 

「ノイズ判定」の基準が甘いがゆえに、

いらん案件を読み進めてしまって

結局時間を無駄にしてるパターンが多い

 

ただ、ノイズの基準を明確にもてていないのも根本原因としてあり、

・背景技術の理解を最初にしっかり

・「仮にドンピシャあったらこうなる」という具体的イメージ

という二点が改めて大事だなと。

加えて、

・臆せずヒアリング

・依頼者の意向確認や、隠れた意図を引き出す

というコミュニケーションも大事

 

ツール面で行くと、

ガシガシ近傍検索や分類統計がとれる環境ではないのだが、

逆に今までそれに頼りすぎたの観もあり、

特許分類の俯瞰や、FI解説の精読など、

まず基本をしっかり習得してからだなと思う

 

逆に、

ツールに求めるものとしては、

調査で困るのはやはり「1回物」の新規調査で、

手早く最初のとっかかりを得たいということなので、

 

精度の良い(というより、入力のあいまいさに対するレスポンスに優れた)

概念検索があると非常にいい、というのは改めて思う。

このあいまいさ、というのが難しくて、

一概にFIの合致度、という話でもなく、

ことばの意味とか文脈をどのくらい反映してくれるか、という点にかかってくる。

 

たとえば、

熱収支に関するとある課題を解消したいとして、

 

・それ専用の要素部品の技術、

・要素部品は限定せず、方法上の工夫

・要素部品の素材に着目したときの機能

 

上記はすべて特許分類は変わってくる

(それぞれ、機械、制御、化学)

 

種公報が1件みつかったとしても

FIを近いものをたどるだけでは、

残りの2つの観点は絶対見落としが生じるので、

 

・キーワードに純粋にたよって、かつ、

 類義語や、場合によっては文脈(共起語?)を

 考慮してくれるロジック

 

・発明者、企業など

 この人/企業はこういうことやってそう

 という類似性を考慮してくれるロジック

 

astamuse社の無料検索は、上記のイメージに割と近く、

最初のとっかかりを得たり、

ある程度調査進んだ段階で、観点の見落としが無いかチェックするのに

けっこう重宝させてもらっている。

どこでもコロナで大変なのだ

学術文献の取り寄せ頼んでた業者からメールはいってて、

コロナで文献へのアクセスが制限されてると。

(所蔵元の機関が稼働してないとかだと思う)

 

なので納期が読めまへん、的な内容だった。

 

なんやかや、電子化されてないものもあったり、

ジャーナルの運営事務局も稼働できてなかったりで、

どこも大変である…

 

しかし、

こっちは上司に了承取って発注してる手前、

取り寄せてみないと納期も価格もわからんよ、

ていうのが、いささかスリリングに過ぎるの観もあり。

濃いサンプル集合が欲しい時の検索方法

近接演算(近傍検索)つかえれば良いのだが、
環境的に難しい場合の代替案

 

なにか1件でもいいから近いものを引っ張ってきて

分類とかを確認したい場合の検索。

したがってモレてもいいので、

数十件程度のノイズ少ない集合が欲しい。

 

<1,公報の書かれ方を利用する方法>

・請求項×発明の効果

→XによってYに優れたものができるよ

 

・技術分野×課題

→Aにおいて、Bという課題を念頭においてるよ

・発明の名称だけで絞る

・発明の名称で 装置/方法/製造方法 といったカテゴリー分け

 

<2,企業/人から探る方法>

・その分野の権威っぽい学者の名前で発明者検索

→うまくいったら企業と共同研究してたり?

 

・関係する発明者の特許の引用/被引用文献

 

・まずニュース記事をググって、それらしいことをやってる企業名を特定

 

どちらかというと今まで1に偏重してた気もしている。

結局、業界やヒトを知るのが最短だったりもする。

特許に拘らず、手掛かりはなんでも使うのがよさそう。

課題を読もう、ということの意味

特許公報を読んでるときに、

課題を読むの大事よ、と言われる。

 

発明の書き方そのものが

課題→解決手段、

という枠組みだし、

 

・(当業者は)…発明が解決しようとする課題に関連した技術分野の技術を自らの知識とすることができる

・主引用発明は、通常、請求項に係る発明と、技術分野又は課題が同一又は近い関係にあるものを選択

・主引用発明に副引用発明を適用する動機付け
…(2) 課題の共通性

 

(以上、審査基準)

 

など、とかく課題は、進歩性の判断その他でも重要な役割を演じる。

判例分析で、課題同一かどうかである論点の判断が分かれる例も多いと聞く。

 

などというのは、まあ聞いていて、そうなんだろうなあと、

頭ではわかっていたんですが。ここまで話の枕。

 

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自分でも仕事で特許公報を(前職以上に)ガッツリ読むようになって、

「あ、課題周辺を読むとコスパがめっちゃいいわ」

という気づきが得られた。

 

というのは、明細書って、

 

本発明は○○に関する。(技術分野)

 

○○についてはXXが知られている。特許文献1(背景技術)

 

ところで、XXでは、YYという課題があった。

 

本発明はこれを解決すべくなされたもので、

あらたにZZという構成をとったことを特徴としている。

 

これによれば、XXと違ってYYすることなく○○の目的を達する。

 

という上記書き方が、テンプレとしてあると思っていて、

課題周辺をよんでいくと、

 

・この発明のテンプレの構成はXXなんだな

・だけど、特許発明はZZという所が違うんだな

 

という、

「ベタを押さえてから発明ポイント/相違点を知る」

という、発明理解の肝にあたる部分が一度にできてしまう。

 

だから、

慣れない分野の調査だととくに、

ベタが何か、どこらへんまでフツーの技術水準か、

というのを掴むのに時間を要したりするのですが、

課題周辺をうまいこと読んで、数件サンプル公報を理解していけば、

わりあい早い段階で、その分野のだいたいの感じが掴める、

 

ということで、

これは自分の業務に即して、メリットがでかいんだな、

と納得できたのでありました。

 

※当ブログは無資格者が勝手なこと書き散らしてるので信ぴょう性は保証できません

クレームチャートというか

そこまで厳密じゃなくて、

特許性調査で、

こういうの先行例あるのかな、という視点で見るとき。

 

検索結果を商用DBで落としたCSVに対して、

構成要素A、B、C、D・・・・という項目を立てて、

各要素の○×△と、

全体的な関連度をASBC参考 の5ランクでつける

というやり方をしている。

これは基本的に、どの調査でも共通のフォーマットにしたいと考えている。

 

特許性調査とはいっても侵害回避の意味合いもあるので、 

先行例のクレームに書いてないかはまず読みますし、

クレームに書いてあったら関連度はSとかつけます。

 

問題は、クレームには直接記載がないけれども、

実施例とかでそういう構成とれるよね、と書いてある場合、

これらすべて気にしていると数が膨大になるので、

チャートに落とし込んでいくときの取捨選択に悩む。

 

これが無効化資料調査とかで、 

無効化の対象の相手方特許が決まっている場合は

対象特許のクレームを要素ごとに切り貼りしていけばいいのだろうけど、

 

特許性調査の場合、

まだ出願していない自社特許のクレームに対して

仮想的な無効化調査をしているようなものなので、

ここでも「まだ見ぬクレームを作文して想像しましょう」という課題が

出てくるというわけだ…

 

と、ここまで書いていて、

上位概念でクレームするか下位概念でクレームするかによって、

調査の視点が変わることに気付いた。

 

というかは、下位概念公知→上位概念の新規性喪失

      上位概念公知→下位概念で限定すればワンチャンスあり

 という原則を利用する。

::::::::::::::::::::::::
上位概念で表現されている場合
下位概念で表現された発明が示されていることにならないため、
→下位概念で表現された発明は認定できない
※技術常識の参酌によって下位概念で表現された発明が導き出せる場合は認定可能
(審査基準 第III部 第2章 第3節 3.2)

:::::::::::::::::::::::::

 

上記審査基準の原則で考えるなら、

・構成要件Aに関しては下位概念でここまでバリエーション広く知られてるんで

 上位概念で広く権利取得するのは難しいです

・構成要件Bは、いま検討している構成をこれ以上具体化した先行例はないので、

 このままの抽象度=上位概念でチャレンジしましょう

 

という試金石にもなるような気がする。

 

よって、下記方針が導かれる。

・まず「下位概念=具体的記述」を探してみる。

 これがぽろぽろ見つかってしまうようだと広いクレームは厳しいので、

 隙間を縫えるギリギリを探る。

・下位概念がみつからなければ、抽象度を上げてみる。

 

例:燻製ピスタチオフレーバー付きのクリームパンを出願したい。

 

・とりあえず、ゴマ付きアンパンが既に知られてるので

 フレーバー付き菓子パン、という上位概念は完全アウトです。

・一方、燻製ピスタチオフレーバーはおろか、ピスタチオフレーバーすらないので、

 ここは上位概念=燻製の限定を外す でチャレンジしていいのでは。

・繰り返しですが、ピスタチオフレーバーが知られてないし、

 これは付した菓子パンはそもそも知られてません

・ということで、クリームパンに限定するのも悪手では?もったいない

・落としどころは、

 

 請求項1 ピスタチオフレーバーつき菓子パン →チャレンジ

 請求項2   前記ピスタチオフレーバーが燻製である菓子パン →ちょっと安牌

 請求項3    燻製ピスタチオフレーバー付きクリームパン →最低限、実施態様は保護

 

 というような妄想をしつつ

調査したら楽しいかもしれないから来週からやる

 

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意匠の書類あれこれ

六図面載せてね、というのは知ってたけど、

 

正面背後、左右、上下、

でどっちかのペアが対称だったら省略出来たり、

 

明らかに底面を需要者・取引者が見ないでしょって時は省略出来たり、

 

図面をCADから持ってくるのは良いけど寸法線はNGよ(特許も同じ)とか、

 

斜視図は必要図にカテゴライズされるので、

文字とか説明いれたらだめよ、とか

(それがやりたかったら参考図でやりましょう)

 

出願書類書くにあたっては、色々きまってるのねと学びになった

そのうち実際に書かせてもらうことになると思う

 

試験勉強:条文ベースと、実務知識のギャップ部分のひとつに

こういったこまかーい書式面での留意点があると思った

(もっとも、上記のうちでも試験で問われるポイントもある)

 

出典:特許庁資料

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/document/bubun_isyou/01_02.pdf

 

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 個人のメモ垂れ流し

 

流体力学を腐るほど

研究室でやらされたと大学時代の先輩が言っていたが、

その人は理系だったけど、銀行マンになった。

修論はたしかジェット水流の話だったと思う。

 

一方自分は文卒で(まあこの区別に意味ないと思ってる)

なんの因果か企業知財に行って、

ナヴィエストークスの方程式を眺めたりしてる今日(読みこなしてるとは言ってない)

 

分野がら、流体力学は良く出てくるのですよねー

今日読んでた論文は、

数値流体力学computational fluid dynamics(CFD)とかいうやつで

まあシミュレーションとかの論文でした。

 

パン生地こねるミキサーとか、

にょろっと細い棒状のペーストを押し出す機械とか、

まあ泡だて器でもいいんですが、

ラボスケール(キッチンスケール)のものもあれば工場スケールのものもあって、

まあ基本原理って意外と変わらんかったりして。

 

今日読んでた話だと、

ミキサーのタイプによって物質に与える変形が違ってくるということで、

同じエネルギーを与えたとしても、練り混ぜ対象のペーストの性質かわってくると。

ここで、ミキサータイプごとに、どういう力が働くかを定式化しようぜと。

 

(もちろんペースト自体の成分も重要な変数にはなるわけだけど

 とりあえずそれは今回はおいておいて、

 一様の粘性をもって、かつニュートンの粘性法則が成り立つ流体だけ扱う。

 ひずみ速度がせん断応力に比例するというやつだけど、

 実はこれまだ呑み込めてない。

 シリンダに入れた水、空気みたく、理想的で単純な流体をイメージしたら良さそう。

 なお、実はむしろ、世の中の大体の流体って、あるひずみ速度を超えるといきなり粘 っこくなったりと、非ニュートン的な性質を示す場合の方が多いとされてる

 泥にじわじわ指突っ込んでもずぶずぶ行くけど、コケて小指から突っ込んだら

 下手したら突き指しかねないくらい反応が固い、的な現象。)

 

て、注が長いって!!

 

ミキサータイプに話を戻すと、

結論3タイプでシミュレーションしてたんですよ。

タイプ1.二つ軸があって、それぞれ羽がついてる。左が時計回り、右が反時計回りに回る、(+右のほうが若干早く回る)というやつで、まあゴムとか樹脂とか混ぜるのに一般的な動きらしいす。

タイプ2.同じく二軸で羽ついてるんだけど、同じ向きに同じ速度で回るやつ。そうめんをニュルっと押し出すような機械はたぶんこの構成をしてる。ミキサーというかはスクリューのかみ合わせのほうがイメージちかいか。

タイプ3.planetary mixerと言って、まあ泡だて器みたいな感じです。論文にあったのは、ほぼ軸だけ回ってる、みたいなパーツと、泡だて器の先みたいな高速で回るパーツと、分かれてるようなタイプでした。

 

で、

せん断する力(ねじ切るイメージ)、うにょっと伸ばす力、生地と一緒にミキサ回ってるだけの力、

の3つの力を主に想定したときに、

せん断が最強なのがタイプ3で、中間がタイプ1、タイプ2はせん断力はありまへん、

逆に伸ばす力はタイプ2最強よね…

みたいな話が、実際シミュレーションでも定式化されてその通りになりましたで、と

 

まあ、そうだよね。

 

 

という、ブツの目的からしても自明じゃね的な結果が、

さもすげーこと見つけたみたいな感じで10枚くらい書いてあるんす、しかも英語で。

いや確かに、シミュレーションの妙みたいなのがあって、

機械も可動域と静止域で分かれているわ、流体にもクセあるわ、で難しいんですけど。

変数しぼって条件固定してもコンピュータ無しでは計算不可なくらいテクニカルなんだけれども。

一般化できたら、変数いじって非ニュートン流体にも適用できるみたいな展望も書いてあるんだけれども

 

だったら今やれや俺は非ニュートン流体の結果が知りたかったんや

 

Fin.

 

というわけで、

3年後には流体力学専攻の学部研究室の人らと会話できるくらいになってたらいいな